凸凹心身:感覚過敏

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発達障害持ちであることは度々語ってはいるものの、日常生活において具体的にどんな不具合を来しているのかは詳しく語ってこなかったので、一度まとめて書き留めておくことにする。

とはいえ、障害というものは個々人で程度がバラバラなものなのだし、発達障害は見た目でそうだと気付かれにくいので、尚更その詳細は一般化しにくい。だから、これはあくまでも一個人の一事例に過ぎないことを最初に断っておく。

で、その一個人の一事例として、まず最初に挙げる不具合は「感覚過敏」。

発達障害者の五感は、鋭すぎたり鈍すぎたりすることが多い。そしてこの、鋭すぎる五感が日々のQOLにずっと悪影響を及ぼし続けている。

まず、視覚の鋭さゆえ、自然光が眩しすぎる。晴天の日向では目の上に手をかざさないと前がまともに見えない。時々屋外でSNS用の自撮りをするけれど、明るいとしかめっ面になってしまうし、暗いと光量不足で画質が荒れる。どっちにしろ、写真写りは悪くなってしまう。

寝床では遮光性の高いカーテンを使わないと、真夏の場合には4時前に目が覚めてしまう。そして、何でも凝視しがちだから近眼だし、眼精疲労で肩が凝りやすい。聴覚も、静かな所では却って耳鳴りがひどい。

視聴覚以外の感覚も鋭すぎるがゆえ、特に食事に悪影響が及んでいる。唐辛子を食った時は汗が出過ぎるし、わさびや練り辛子のような鼻にも来る辛さはそもそも好きになれない。たらこやブロッコリーは細かいツブツブが口の中にまとわりつくのが気持ち悪い。レバーの臭みもプルーンの味も一向に好きになれない。

きゅうりや大根は特に生の場合だと歯応えも味も匂いも不快だから、子供の頃は漬物全般も食えなかった。カレーに添えられた福神漬けすらカレーと共に丸呑みしていた。今では生でなければかなり食えるようにはなったものの、依然としてコンビニとかでサンドイッチを買う時には、きゅうりやマスタードマヨネーズが入ったものは避けている。

30過ぎまで関西の実家で親と暮らしていた頃、夏の夕食は週イチくらいでホットプレートの焼肉を囲んでいたけれど、実の所、半袖でむき出しになった腕に油がはねると痛いので好きではなかった。正月のおせちもエビの生臭さが不快だった。

小学校の給食では、きなこパン(油で揚げたコッペパンにきなこをまぶした、関東で言う揚げパン)の油と大豆の混ざり合った匂いが吐き気を催して、一口も食えなかった。

そして、そんな感覚過敏にとって、小学校の休み時間というのは、本人不在の椅子にこっそり画鋲を置いたり、伸ばした輪ゴムを不意打ちで素肌に当てたりするといった、激痛を引き起こす恐ろしい蛮行が横行する危険な時間帯だった。

普通の小学生にとっては他愛無いイタズラだったがゆえ、感覚過敏で痛がると、そのリアクションが却って更なるイタズラの呼び水になってしまった。

通常よりも感覚が鋭すぎる人がいる、ということに気付く人なんて、昭和の義務教育の現場には誰一人いなかった。だから、放課後に一人で泣きながら下校することも一度や二度ではなかった。

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