同文異義:霞

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「霞」という字は、日本語の訓読みでは「かすみ」と読み、現代ではもっぱら春の薄霧を指す。が、霞とは元々、朝焼けや夕焼けの真っ赤な空のことを指し、支那語では現代でもそういう意味で使われていて、朝焼けは「朝霞」、夕焼けは「晚霞」という。

こうした違いから、「仙人」のイメージも日本と支那では大きく異なっている。日本では仙人というと、何の栄養も無いような「かすみ」を食っている、飄々として枯れた雰囲気の老人、というイメージだが、支那での仙人とは真っ赤に染まった天空に満ち満ちた太陽エネルギーを直接体内に取り込む超人、というイメージなのだ。

北京よりも東京の方が、年間降水日数は2倍以上も多い。当然、日本列島よりも黄河流域の方が、朝焼けや夕焼けで真っ赤に染まった空を目にする機会は多い。ゆえに、祝い事でも太陽エネルギーにあやかって赤色を多用する。日本でも祝い事では紅白幕とか赤白水引とか紅白饅頭とかで赤色を使うが、支那ではもっと徹底していて、春節では家々を真っ赤な春聯や真っ赤な剪紙で飾り、真っ赤な爆竹を鳴らし、真っ赤な内衣(下着)を着る。圧歳銭(お年玉)を入れる袋も真っ赤な「紅包袋」を使う。

有史以来、支那では赤い色はめでたい色なのだ。中華民国の青天白日満地紅旗は、何も国土の大半をアカに乗っ取られた現状を表現しているのではなく、1928年に南京国民政府が成立した時からこのデザインが採用されている。更に遡ると、十八星旗も赤色がベースになっている。

そして、このような支那における伝統的な赤色のイメージを見てみると、国共内戦もまた少し違って見えてくる。国共内戦で共産党が支那本土を制圧したのは様々な要因が挙げられるが、共産党が真っ赤な旗を掲げていたことも、勝因のひとつだったと考えられる。田舎の無知無学な農民がマルクス主義なんて知るわけがない。ただ単に、真っ赤な旗を掲げる共産党が、何か吉祥をもたらしてくれるように見えて、それゆえに共産党が広範な支持を得られたと考えられる。つまり、カラーイメージ戦略上、国民党の青天白日旗よりも共産党の赤旗の方が有利に働いたと考えられるのだ。

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