コミケはどれだけ知られているか

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2020年はコミックマーケットが夏・冬いずれも開催が中止になったことは一般のメディアでも報じられているが、それも含めて近年、一般のメディアにおいてコミケ関連のニュースやドキュメンタリーが増えてきている。こうしたことから、コミケに参加しない者の間でもコミケが知られてきている、と思っているコミケ参加者は少なくないだろう。が、そうした見方に冷水をぶっかけてみることにする。

丸十年就いていたプログラマーの職を2009年に辞めた後、2010年代は様々な職を転々としてきたが、そうした中で合計二年ほど、コミケの会場として使われる有明の東京ビッグサイトのすぐそばに建っているビルの中で働いていた。機微情報を扱う仕事だったので詳細は伏せるが、100人単位の大所帯の仕事場で、休憩時間に利用するリフレッシュルームも1フロアの半分を占めていて、窓からはビッグサイトを一望にできた。

ところが、そのような仕事場で働いている者達の間ですら、コミケは「年に1回、夏に開催するアニメのイベント」という認識だったのだ。

その仕事場は、年末年始は休業していたが、それ以外は暦通りの勤務だった。だから、夏コミの初日(金曜日)だけは勤務日と重なっていたので、夏コミが開催される週のアタマと木曜日の朝礼では、混雑を避けるために金曜日は早めに出勤することが奨励されていた。そして、金曜日当日の昼休みには、リフレッシュルームの窓際から眼下のビッグサイトと待機列を携帯でこっそり撮影する者が何人もいた(機微情報を扱うので仕事場はもちろんのこと、リフレッシュルームでもカメラ撮影は禁止されていたが)。その一方、年末年始の休業期間にも冬コミが開催されていることは知られていなかった。

2010年代の、ビッグサイトのすぐそばで働いている者達の間ですら、コミケはその程度しか知られていなかった。おそらく今でも、コミケの一般的な知名度は、コミケ参加者が思っているより、もっと、ずっと、低い。

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