(三度目の)開設の辞

Pocket

初めて個人サイトを開設したのが1996年、全面的に作り直したのが10年後の2006年、そして今回再び10年目にして全面的な作り直しに至ったので、試みに、この20年余りの軌跡を振り返ってみることにする。

一浪の末、1994年に大学に入った時点では、将来、編集者になりたかった。だから、DTPの技能を身に付けるべく、入学後すぐに学内のオープンパソコンルームでMacに触れて、インストールされていたPageMaker(メーカーはまだAdobeではなくAldusで、バージョンは4.5だった)をいじり倒した。

物心ついた頃からずっと、自分のメディアを持ちたいという欲求が強かった。編集者を目指していたのも、そうした欲求の表れだった。だから、1995年に入った頃から、新しいメディアであるインターネットにも徐々に心惹かれていった。ただ、当時はまだ日本語のWebサイトは極めて少なく、Yahoo! JAPANすら無かったので、個人サイトを作ってみたいと思うようになったのは、1996年に入った頃からだった。

とはいえ、日本語で読める資料は少なく、個人サイト作りの独学は、単なるテキストファイルをNetscape Navigatorにドラッグ&ドロップしては、何で改行が反映されないんだ?と悩むようなレベルから始った。加えて、Macのファイルは拡張子を必要としなかったので、UNIX系の知識の欠如もハンデになった。

ようやくHTMLとCGIの解説書を手に入れて、とりあえずHTMLファイルは作れるようになった。が、CGIの仕組みがどうにも理解できず、ここで詰ってしまった。学内のサーバーで学生でも個人サイトを開設できるようになっていたので、当初、3回生になる4月に自分のサイトを開設するつもりでいて、HTMLだけの静的なサイトであれば開設できたのだが、CGIも理解した上で開設したいという思いが強く、予定はズルズルと延びていった。

結局、いつまで経ってもCGIはよく理解できず、このままでは埒が明かないと、半ば仕方無く、8月に最初の個人サイトを学内のサーバーに開設した。動的なデータ生成が理解できないというハンデは、その後も長く尾を引いた。

CGIが理解できないということに加えて、最初の個人サイトの開設にあたって、もう一つ不満だったのは、文字コードの問題だった。大学では文学部で東洋史を専攻していたので、漢籍などの東洋の文献の電子化に興味があった。が、当時はMacもWinもUnicodeをOSレベルでサポートしていなかったので、最初の個人サイトでは文字コードにShift_JISを使っていた。回線が繋がっていれば世界のどこからでもアクセスできる筈のインターネットで、使える文字が極めて限られているというのは、個人的に大きな不満だった。

このように、色々と不満はあったものの、自分のメディアを持てるという喜びは、それを補って余りあるものだった。1998年に大学を卒業した後は地元のプロバイダーやVector、そしてZAQとサーバーを転々として、最終的に2005年にAppleの.Mac(後のMobileMe)に落ち着いたものの、Appleがサービスを終了してしまったことで、最初の個人サイトは自然消滅した。

最初の個人サイトを.Macに移した後、全く新しく別のサイトを作ることを考えた。最初の個人サイトは文字コードの問題に加えて、カテゴリー毎のデザインの統一性が無く、ごった煮状態だったので、新しく作り直すサイトは文字コードにUTF-8を採用して使える文字の種類を増やし、CSSの導入などでデザインに統一性を持たせ、2006年の1月にYahoo!ジオシティーズに開設した。

しかし、翌2007年から卓上ウォーゲームの対戦記録を残すようになると、ファイルが激増して管理が大変なことになってしまった。特に、デザインに統一性を持たせたサイトでHTMLファイルが増えることで、本文以外のヘッダー・フッター・サイドメニューをおいそれといじれなくなってしまった。

そうしてファイル管理に四苦八苦していた中、2009年の11月に、既存のHTMLファイルのヘッダーの設定に誤りがあって、ページが正しく表示されないことがあることが判明して、100件以上あるHTMLファイルを全部修正する羽目になった。

何とかしなければと、翌2010年の2月にエキサイトブログに別館を開設して、そちらに対戦記録を丸ごとごっそり移すことで、ようやく本館のファイル管理が楽になったと思った矢先、今度は朝鮮戦争関連のファイルが激増して、以前にも増して管理が大変なことになってしまった。

この頃から、もう静的なWebは嫌じゃ〜っ、という気にはなっていたものの、2012年に入ってから精神的にボロボロになってしまい、何ら手を打つことができず、別館を毎月1回更新する以外は半ば放置状態が続いていた。

それから3年が経ち、2015年になってようやく精神的に立ち直ってきて、懸案事項の解決に取り組む意欲も出てきた。三度目の個人サイト開設では、ウィキとブログの二本立てで、20年目にして静的なWebからの脱却を図ることにした。まだまだ動的なデータ生成は得意ではなく、事ある毎にPHPのオンラインマニュアルを参照せざるを得ないけれど。

こうして振り返ってみると、20年目にしてようやく理想に近いサイトを構築できるようになったような気がする。さて、10年後は一体、どうなっているのだろうか?

Pocket