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香港

軍人が行う兵棋演習とは異なる「民間のホビーとしてのウォーゲーム」は、19世紀にイギリスで模型を使ったミニチュアウォーゲームとして始った。例えば、ジェーン海軍年鑑は元々、海戦ウォーゲームをプレイするための資料集として出版され、SF作家として知られるH.G.ウェルズはミニチュアウォーゲームを題材とした著作「Floor Games」と「Little Wars」も執筆している。

そのため、アジアにおける英国領の国際貿易港として発展してきた香港でも、ウォーゲームは古くからプレイされている。

1980年に発足したThe Hong Kong Society of Wargamers(香港戰棋協會、通称HKSW)は、創設から30年以上が経った現在でも原則として毎月第1・第3土曜日に定例会を開催していて、ミニチュアウォーゲームもボードウォーゲームも盛んにプレイされている様子は公式サイトのニュースページ公式Facebookグループでも確認できる。

定例会の参加者は毎回20〜30人程度で、毎年5月に開催されるAnnual General Meeting(年次総会、通称AGM)では50〜60人程が集り、揃いの黒シャツで集合写真を記念撮影するのが恒例となっている。定例会やAGMの終了後は、広報兼対戦組み合わせ担当のLawrence Hoが公式Facebookグループに写真を上げている。また、会員の個人宅を使ったウォーゲーム専用部屋「Tiger Room(虎穴)」「Panther's Room(豹房)」「Wolfsschanze(狼穴)」「Chu's Home(豬欄)」でも不定期にミニ集会が開催されている。

会員の張嘉輝(Cheung Kar Fai)はGJの付録ゲームを中心に日本のボードウォーゲームのルールを多数翻訳している。同じく会員の朱國華(Chu Kwok Wah)はFacebookアルバムで定例会やミニ集会のアルバムを多数公開している他、中学校の教師という職業柄、たびたび中学生に「ガザラの戦い」や「ビスマルク号を撃沈せよ」などのミニゲームを使ってウォーゲームを教えている。

その一方、SNSが充実しているからか、個人のサイトは少なく、ASLプレイヤーのJackson Kwanのブログ「Hong Kong Wargamer」くらいしかない。

ショップは、戰棋會有限公司が1990年代から輸入ウォーゲームを多数販売していて、21世紀に入ってからはGMTなどの売れ筋ゲームをいくつかローカライズして出版している(香港戰棋協會と名前が似ているが、直接の関係は無い)。一時期、オフライン店舗を構えていたこともあるが、現在はオンラインショップのみの営業となっている。とはいえ、事前に連絡すれば、倉庫を訪問して直接購入することもできる。

オリジナルなゲームの出版は、1980年代前半の数年間のみの活動だったが、戰棋研究中心(Wargames Research Centre Ltd.)というメーカーがかつて存在していて、「Tank Battle(坦克大戰)」「Galactic Battle(星球大戰)」「China Vietnam War(中越大戰)」を出版していた。オリジナルなゲームの他にも、AHの「Midway」「The Russian Campaign」「Air Force」をローカライズして、それぞれ「中途島戰役」「莫斯科攻防戰」「碧血長空」というタイトルを付けて出版していた(正式にライセンスを取得していたのかは不明)。

また、戰棋研究中心は1983年に一度だけ地元でウォーゲームのデザインコンテストを開催していて、支那事変をテーマとした戦略級ゲーム「聖戰千秋」がグランプリを獲得した。「聖戰千秋」も当初は出版される予定だったが、程無くして戰棋研究中心が廃業してしまったため、商品化は宙に浮いてしまった。デザイナーの杜駿聰(Leonard To)は当時中学生だったが、その後も天安門事件の影響が香港に及ぶのを恐れた両親と共に一時期アメリカに移住したりしながらも、断続的に同じテーマでゲームデザインを続けて、丁度30年後の2013年に集大成としてMMPから「War of the Suns(天無二日)」を出版した。

 

台湾

台湾では21世紀に入った頃から、台北の小古桌上遊戲俱樂部(現在の名称はJOOL桌上遊戲俱樂部)や艾客米桌上遊戲世界といったショップが輸入ウォーゲームを販売していたが、2009年に決定的な転機が訪れた。

兵役を終えた後、理学療法士として台北の三軍総医院に勤務していた鄭偉成(Wei-Cheng Cheng)が、生体運動学を習得するために南カリフォルニア大学へ留学して学内のボードゲームサークルに入り、そこでウォーゲームと出会ったことで自らウォーゲームのデザインを志すようになり、2009年に台湾に戻ってすぐ福爾摩莎戰棋社(Formosa Force Games)を設立した。

福爾摩莎戰棋社は霧社事件をテーマにした「賽德克之歌」などのハガキゲームを何作か試験的に作った後、翌2010年に戦史雑誌「突擊」と「戰場」を発行している知兵堂出版社と共同でウォーゲーム専門誌「戰棋」を創刊した。

「戰棋」は2013年までに第10号まで発行され、毎号、国共内戦や支那事変などをテーマにしたゲームを付録として、台湾のウォーゲーマー人口を一気に拡大させただけでなく、海外でも大きな反響を呼び起した。日本では「コマンドマガジン」の発行元である国際通信社が運営するネットショップ「a-game」が輸入販売していて、香港でも前述のThe Hong Kong Society of Wargamersが共同購入を行っている。あの「艦隊これくしょん」の田中謙介プロデューサーも台湾へ行く度に購入していると4Gamer.netのインタビューで語っている。また、創刊号の第2付録「八百壯士」と第2号の付録「圍城虎嘯」は、フランスで発行されている英文のウォーゲーム専門誌「Battles」第7号(2011年10月発行)の付録として再版された

加えて、福爾摩莎戰棋社は2012年に初のボックスゲーム「英烈千秋」も出版した。ゲームデザイナーは前述の香港の杜駿聰でグラフィックデザイナーは日本の板倉宗春という、史上初のアジア合作ボードウォーゲームとなった「英烈千秋」は、そもそもは「War of the Suns」の簡略版としてデザインされたが、「War of the Suns」の出版が(コンポーネントが膨大で製造コストが高いことから)何度も延期されたため、結果的に先に世に出ることになった。

代表の鄭偉成が結婚して子供も生れたため、福爾摩莎戰棋社は「戰棋」第10号の発行後、約2年間ほぼ活動を休止していたが、2015年に「戰棋」第11号を発行して復活の狼煙を上げた。今後の出版計画や開発中のゲームの情報は公式Facebookグループで確認できる。

福爾摩莎戰棋社の他にも、カジュアルなボードゲーム・カードゲームを多数出版している2Plusが、台湾の公式な歴史研究機関である国史館と共同で児童の歴史学習用のゲームを開発していて、2010年に「中原大戰」を、2011年に「辛亥革命」を出版している。また、2012年から「壬辰之戰 Far East War 1592」の出版を計画していたグループがクラウドファンディングで資金を集め、2015年に台湾よりも先に日本のゲームマーケットで体験版を先行販売した。

香港よりも総人口が比較的多く、なおかつ言論の自由が保障されているからか、台湾のウォーゲーマーはSNSで活発に交流する一方、個人でも「大男孩 の 生活 ○ 瑣事」「Robin's WarGame Room」「13 Foxtrot」「繁星.若塵」「Command & Caffe」「DVE's log」など、ブログを開設している者も少なくない。

サークルは、台北で2009年に発足した戰棋團が毎月1回定例会を開催していて、ここで福爾摩莎戰棋社の新作ゲームのプレイテストもしばしば行われている。南部の高雄でも2016年からウォーゲーマーの集りが定期的に開催されるようになった。また、新竹では初心者向けのゲーム会が開催されている。

この他、一風変った話題としては、ニューヨークのコロンビア大学に留学していたFraser changが、「積み木の航星日誌」のコミPo!を使ったウォーゲームネタのマンガに触発されて、同じようにコミPo!を使ってボードウォーゲームの入門マンガ「天才戰棋少女」を制作して、電源系ゲーム情報サイト「巴哈姆特(バハムート)」で2014年から不定期に発表していて、公式Facebookページも作っている。

 

中華人民共和国

人民解放軍で長年に渡って演習用の軍事シミュレーターの開発を手がけ、1993年に退役してからはPCウォーゲームを開発していた楊南征が、2006年に遠東旗艦(北京)国際科技有限公司(現在の名称は南征兵推(北京)信息技術研究院)を設立して、台湾侵攻をテーマとしたボードウォーゲーム「台海風雲」を出版した。翌2007年に楊南征は解放軍出版社からウォーゲームの解説書「虚擬演兵」を出版して、遠東旗艦(北京)国際科技有限公司も「南昌起義」と「四渡赤水」を出版した。

その少し前の2005年に、北京で3人のボードゲーマーが「Diplomacy」のプレイを始めて、翌2006年の年明けに「Axis & Allies」を購入して春節の連休に初めてプレイして以降、毎週末にカフェでゲーム会を開催するようになり、程無くして「北京卓上遊戯和戦棋倶楽部」を名乗るようになった。2006年の夏までに常連メンバーは10人を超え、プレイするゲームも10種類を超えた。

北京卓上遊戯和戦棋倶楽部は2007年の10月に、遠東旗艦(北京)国際科技有限公司と共同で遠東旗艦杯第1回ウォーゲーム大会を開催して、11月には「Flames of War」のメーカー公認グループ「中国FOW倶楽部」を設立した。また、「中国国防報」などの多くのメディアの取材を受けるようになり、プレイするゲームも50種類を超えた。

2008年に、北京卓上遊戯和戦棋倶楽部はアブストラクトゲーム専門グループの「北京卓遊社」とウォーゲーム専門グループの「北京戦棋党」に二分された。北京戦棋党の常連メンバーは20人を超え、北京以外の地区からネット経由で公式掲示板に参加するメンバーも増えた。また、この頃から個人輸入したウォーゲームのコンポーネントをDTPでローカライズするようになった。

北京戦棋党はその後、北京卓上遊戯和戦棋倶楽部だった頃から定例会の会場として使っていたカフェが閉店したことにより、「長征」と称してメンバーの個人宅など会場を転々としたり、サーバーの故障に伴って掲示板を移転したり、紆余曲折を経ながらも、現在に至るまで基本的に毎週末と春節や国慶節などの連休に定例会を開催していて、翻訳したルールは50種類を超えている。代表の韓肇鵬(David Han)は2010年から2011年にかけて、前述の台湾の「戰棋」に寄稿している。

オンラインのコミュニティーでは、「戦争芸術(www.toaw.org)」という掲示板も重要な役割を果していた。toawというドメインからわかるように、元々はPCウォーゲーム「The Operational Art of War」のプレイヤー向けの掲示板だったのだが、卓上ウォーゲームの掲示板も設けられていて、ゲームのレビューやリプレイ、翻訳ルールや自作ゲームの発表、英文資料の紹介など、活発な遣り取りがなされていた。しかし、サーバーが不安定で過去ログが1年分以上も消失することがあり、2014年に一旦閉鎖された(2016年に一応復活)。

不安定な「戦争芸術」の代替として、2013年に百度貼吧で「兵棋研究所」が、2014年に「Velonica War College」が開設された。特に「兵棋研究所」では「戦争芸術」を上回る勢いで毎日のように投稿が相次ぎ、現在に至っている(アカウントを取得してログインしなければスレッド一覧も個々のスレッドも2ページ目以降が閲覧できないようになっているが、2ちゃんねるのように新たなレスが付いたスレッドが一覧の上に来る仕組みなので、時々古いスレッドが浮上する)。常連投稿者の自己紹介スレッドを見ると、活動地区(居住地)は帝都(北京)や魔都(上海)の他にもハルビンや大連、広州や桂林、武漢や成都など、全国各地の都市名が挙げられている。

投稿内容は、「开箱(開箱)」と題した購入したゲームの紹介、そして「推演战报(推演戦報)」と題した(ソロプレイも含めた)プレイ報告が多い。いわゆる「爆買い」はこの業界とて無縁ではなく、個人輸入、あるいは北京の一刻館卓遊や上海の神秘島卓遊といったショップを通して、アメリカや日本のボードウォーゲームが新作旧作問わず凄まじい勢いで買われている。

代表的なものを挙げると、SPIの「The China War」や「Berlin '85」や「Fulda Gap」も、S&Tのバックナンバーも、VGのゲームも、AHのGCACWも、GDWの「Fire in the East」も、ADGの「World in Flames」も、GMTのEFSや「Next War: Taiwan」や「A World At War」も、MMPの「OCS: Korea」や「War of the Suns」やASLSKも、Hexasimの「Liberty Roads」や「Victory Roads」も、Decision版の「Wacht am Rhein」も、Compass版の「Bitter Woods」も、CoA版の「La Bataille de la Moscowa」も、L2D版の「Streets of Stalingrad」も、エポックの「戦国大名」や「孫子」や「三国志演義」も、CMJのバックナンバーや「アジアン・フリート」や「ぱんつぁー・ふぉー!」も、GJの「項羽と劉邦」や「信長後継者戦争」も、シックス・アングルズ版の「Panzerkrieg」や「突撃レニングラード」も、サンセット版の「Fleet Battles 聯合艦隊」も、ツクダの戦国群雄伝シリーズ銀英伝シリーズも、アドテクのSDFシリーズも、テクニカル・タームの同人フリートシリーズも、「戰棋」の国共内戦をテーマとした付録ゲームも、レビューやリプレイが投稿されている。特に、JWC版の「ドイツ戦車軍団」と「日本機動部隊」は初心者向けゲームの定番と化していて、ASLSKと同じくらいリプレイが頻繁に投稿されている。

また、「资讯交流(資訊交流)」や「兵棋学院」と題したウォーゲーム関連の情報の共有スレッドもしばしば投稿されていて、ウォーゲームに関する知識の全体的な底上げ効果をもたらしている。

そして、そうしたオンラインでの交流からオフラインでのゲーム会も成立するようになり、常連投稿者で上海在住の天神降下作戦(TianChen Xiao)は2015年5月から「Shanghai Wargamers Party」と銘打ったゲーム会を毎週末に開催していて、写真をFacebookに上げている。

英語だけでなく日本語も使える者も少なくないので、翻訳されたルールのPDFがBoardGameGeekや百度雲(バイドゥ・クラウド)のオンラインストレージで公開され、誰でも自由にダウンロードできるようになっている。翻訳ルール以外にも、2015年からASL専門のフリーマガジン「Dare-Death」が配布されている。また、日本在住の留学生がa-gameやクロノノーツやゲームマーケットで買ったゲームのレビューを投稿したり、ゲーム会に参加することもある。

新しいメーカーも次々と誕生していて、2014年には上海で戦鼓遊戯(War Drum Games)が、2015年には遼寧省大連市で千伏工作室(Kilovolt Design)、広東省仏山市で後漢家遊戯工作室(The Later Han Games)が、2016年には北京で戦旗工作室(Banner of War Studio)が、2017年には上海で黒喵製造総局(Kuro Neko Design Workshop)が、それぞれ商業レベルでオリジナルなゲームの出版や外国のゲームのライセンス出版を始めている。

 

大韓民国

21世紀に入った時点では、韓国の卓上ウォーゲームを取り巻く環境(の貧弱さ)は、台湾や中華人民共和国と大差無かった。むしろ韓国では2003年にボードゲームカフェの全国的な出店ブームがあり、その中には「Axis & Allies」を常備している店も結構あったので、本格的なウォーゲームを普及させる条件は比較的恵まれていた。が、それから10年以上が経っても、韓国の卓上ウォーゲーム界隈はロクに発展しなかった。本格的な国産ウォーゲームも、ウォーゲームの解説書や専門誌も出版されていないし、コンベンションや、いわゆるブートキャンプ的な催しも無い。

ボードゲームそのものは、各地でサークルやボードゲームカフェが定着しているのに加えて、2013年にBoardGameGeekの韓国版と言えるコミュニティーサイト「ボードライフ」が開設されていて、オンラインでの交流も活発に行われている。が、そこからウォーゲームに的を絞ると、プレイヤーは極端に少なくなる。ボードライフでのウォーゲームのリスト(個々のゲームの基本情報自体はBGGが公開しているXMLのAPIを使って引っ張ってきている)を見てみると、殆どのゲームで플레이(プレイ)や보유(保有)の欄が0のままになっている。

基本的に、韓国での卓上ウォーゲームは、比較的重めのゲームをプレイするボードゲーマーが、ごく一部のゲームをたまにプレイするレベルに留まっている。2016年にゲームショップ、Boardpiaのゲーム出版部門であるDice Tree Gamesが「Twilight Struggle」のローカライズ版「황혼의 투쟁(黄昏の闘争)」をリリースしたが、ウォーゲーマー向けではなく、あくまでもボードゲーマー全般向けという位置付けになっている。

ウォーゲームに特化されたオンラインのコミュニティーは、Naver Cafeで2009年に「Board & Strategy」が、2013年に「シュベーアプンクトウォーゲームクラブ」が開設されたが、前述の百度貼吧の「兵棋研究所」と比較してみれば、投稿の質も量も遥かに劣る。

そもそも、前述のボードライフでのウォーゲームのリストでもわかる通り、韓国のウォーゲーマーはロクにゲームを買わない。基本的にGMTのゲームしか買わず、MMPのゲームはTCSもGTSもGCACWも買わない。ASLは2015年から、SCSは2016年からようやくブログで紹介する始末で、OCSは「Korea」くらいしか買わない。DecisionやCompassやColumbiaやVPGやCoAのゲームも殆ど買わないし、雑誌はS&TもWaWもMWもAtOも買わない。AHやSPIやVGやGDWといった1980年代以前のゲームも買わない。その上、買うのはもっぱら陸戦ゲームばっかりで海戦ゲームや空戦ゲームを殆ど買わない。そうした貧弱な購買力を反映してか、BoardMDivediceといった国内のショップもウォーゲームは不定期にしか仕入れない。

輸入ゲームしかない以上、海外に目を向けなければならないのに、主要なメーカーやオンラインショップ・ニュースサイト・ポータルサイトなどの詳細なリンク集をネット上でまともに作ろうとしないし、語学力の有無が重要になるのにも関わらず、英語よりは楽だからという理由で日本語版のゲームを買ったりする。当然、ルールの翻訳も遅々として進んでいない。難易度も確かめずにタイトルだけで「Next War: Korea」を買ってからルールの多さにビビって駒切りすらしなかったりするし、OCSのシリーズルールの翻訳は3年かかってまだ完成していない。しかも、たとえ翻訳してもロクに公開しない。GMTの公式サイトには英語以外の翻訳ルール専用のダウンロードページが設けられているのに、そういった所やBGGで公開しようとせず、最悪の場合、翻訳者にメールを送って直接遣り取りするという方法が使われていたりする(2013年以降はボードライフでの公開が増えて多少はマシになった)。また、たとえ公開していても、素のテキストファイルやPDFといった汎用的な形式ではなく、どローカルなアレアハングルの書類の形式のままで公開していたりすることもある。

加えて、ブログでレビューやリプレイを公開していても、突然丸ごと削除してしまったり、長らく放置している間にマルウェアに感染して閲覧できなくなってしまったりすることもあり、情報がちっとも蓄積されない。しかも、テキストや画像をコピーできない設定にしていて情報が拡散しにくくなっていることもある。更に悪いことに、前述のNaver Cafeでは2016年から投稿をメンバー限定公開に設定する事例が増えていて、メンバー以外には活動内容が窺い知れず、新規加入の妨げになっている。

数少ない例外は「SHERRY'S KINGDOM」と「Board & HISTORY」くらいだが、全体としてまだまだ情報の蓄積が足りない。

ただでさえ頭数が少ない上に、大部分はロクに購入しない・ロクに発信しない・ロクに共有しないという三拍子揃った体たらくで、現状のままではあと10年経っても何の進展も期待できない。

 

フィリピン共和国

アメリカ出身で、フィリピン人と結婚してマニラに住むベテランウォーゲーマーのMark W. Humphriesが1995年にThe Philippine Historical Boardgamers Club(別名Philboardgamers)を設立していて、現在まで活動を続けている。BoardGameGeekで公開している所有ゲームリストは1600を超えていて、この膨大なコレクションが若いフィリピン人ウォーゲーマー達の知識や技能の向上に役立っている。公式Facebookグループが非公開設定なので部外者には活動実態がわかりにくくなっているが、メンバーが撮影した写真が時折C3i Ops Centerで紹介されることがある。

ショップは、Gaming Libraryがウォーゲームも扱っていて、アメリカのゲームであれば比較的容易に入手や注文ができる。「尖閣ショウダウン」を持っているフィリピン人もいる。

また、2016年にはASLの第2回アジア太平洋トーナメント「Mayhem in Manila」が開催された。

 

シンガポール共和国

香港と同様に、アジアにおける英国領の国際貿易港として発展してきたシンガポールでも、ウォーゲームは古くからプレイされていた。しかし、香港よりも更に人口が少ない上、兵役によるブランクが発生することがハンデになるからか、今ではNapNutsというミニチュアウォーゲームのサークルはあるものの、ボードウォーゲームは事実上、個人単位でのプレイのみとなっている。2004年に、1980年代からの古参ウォーゲーマー達が「Singapore Wargamers」というサイトを作ったが、1年で更新を停止している。現在はFacebookグループに移行していて、そこそこ投稿はあるものの、実際にプレイしている様子は殆ど確認できない。

ショップは、1980年代にLeisurecraftというゲームとマンガを扱う店がウォーゲームも売っていたのだが、現在はオーナーが変り、店名もParadigm Infinitum(通称PI)に変り、ミニチュアウォーゲームは扱っているがボードウォーゲームは扱っていない。

とはいえ、全く明るい材料が無いわけではなく、2009年にはWorldsForgeというメーカーが「Field Command: Singapore 1942」を出版している。2014年にはASLの史上初のアジア太平洋トーナメント「Malaya Madness」が開催されていて、この時は東南アジアの地理的中心に位置するという地の利を生かしてか、地元シンガポールの他にも前述のJackson KwanやMark W. Humphriesなど、香港やフィリピン、そしてオーストラリアのASLプレイヤーが参加している。同じく前述の「Mayhem in Manila」も、シンガポールから複数のプレイヤーが参加した。

 

マレーシア

華人系のボードゲーマー、邱卓成(Hiew Chok Sien)が英文版簡体中文版のブログを運営していて、ユーロゲームの他にも度々ウォーゲームのレビューやリプレイを書いている。

ショップは、クアラルンプールのBoardgamecafe.netがウォーゲームも扱っていて、2013年にはGMTのゲーム会を開催している

 

インドネシア共和国

Indoboardgamesというボードゲームサークルがウォーゲームもプレイしていて、公式サイトのフォーラムには2008年からウォーゲームの専用掲示板もある。オンラインの活動は現在、公式Facebookグループに移行していて、そこでも度々ウォーゲームの写真が投稿されている。

特に、九州大学に留学していた時にGiFの定例会に参加していたAdhika Widyaparagaと、C3i Ops Centerで度々紹介されているAgung Waspodoの二人が、インドネシアにおける卓上ウォーゲーム活動の牽引役になっている。

 

ベトナム社会主義共和国

Boardgames Saigonというボードゲームサークルがウォーゲームもプレイしている。

 

タイ王国

イギリス出身のChris SandersonBattlefield Bangkokというショップを経営している。ウォーゲームはミニチュアゲーム中心だが、ボードゲームも注文すれば取り寄せできて、店内でプレイする人もいる。「Here I Stand」や「Virgin Queen」のゲーム会が開催されたこともある。

また、TABLETOP THAILANDというブログが時々ミニチュアウォーゲームのレビュー記事を投稿している。

 

カンボジア王国

前述の「Mayhem in Manila」に参加したシェムリアップ在住のフランス人、Raphaël Ferryによる主催で2017年7月に第3回ASLアジア太平洋トーナメント「Angkorfest 2017」の開催が予定されている。

 

インド共和国

India Wargamersというサイトがあって、バンガロールでミニチュアウォーゲームをプレイしていると書いているのだが、2009年以降、更新が無い。ブログもあるが、やはり2010年で更新が途絶えている。

これとは別に、Dice n Dineというバンガロールのショップが少しだけウォーゲームも扱っている他、Mumbai Board Gamersというボードゲームサークルが時々ウォーゲームもプレイしている。

 

トルコ共和国

Istanbul Board Game Enthusiastsというボードゲームサークルがウォーゲームもプレイしている。


Last-modified: Mon 10-Apr-2017 10:10:10 PM +0900 JST (251d)