可処分時間と関心経済

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21世紀に入ってから、エンタメのコンテンツは多チャンネル化・多種多様化が加速し、それによってコンテンツの提供者間における「可処分時間」の奪い合いも激化している。そして、可処分時間の奪い合いでは、いかにしてターゲットとなる受け手の興味関心を確実に引き寄せるか、という「関心経済」が重要になっている。しかし、日本の卓上ウォーゲーム界隈はオンライン・オフラインを問わず、そうした興味関心の引き寄せについて十分に注意を払わず、リソースを投入していない。

1990年代後半から2000年代前半にかけて、少なからぬウォーゲーマーが個人ホームページを開設していたが、2000年代後半からブログとSNSが擡頭したことによって、そうした個人ホームページのサービスが次々と終了してしまい、相当数のホームページがブログやウィキといったCMSに移行することなく消滅してしまった。生き残ったホームページも、大部分がパソコンの大きくて横長な画面を前提にしたレイアウトなので、スマホの小さくて縦長な画面では見づらく、それが原因でGoogleの検索結果のランキングも下げられてしまい、辿り着きにくくなってしまっている。加えて、いまだに定例会の予告を古臭い掲示板でしか行わず、Twitterを活用していないサークルも少なくない。結果、日常的にスマホでSNSにアクセスする層に卓上ウォーゲームの情報が十分に届いていない。

オフラインでの広報活動のお粗末さは更にひどい。イエサブの店舗には大抵、ユーロゲームやTRPGのサークルやコンベンションのチラシが置かれているが、ウォーゲーム系のチラシは全く目にしない。加えて、ゲムマに出展しているウォーゲーム系のサークルも、同人誌や同人ゲームを売ってはいても、そうしたチラシを作って配布している所を見たことがない。ウォーゲーマーが不特定多数と接触できる数少ない機会であるのにも関わらず。

そうした可処分時間と関心経済への意識の低さを問題視しているからこそ「ウェブの断絶」や「人とゲームは見た目が9割」を書いてきたし、Twitterボットを作ったり、自腹を切って「QRコード付き!電源不要ウォーゲーム日本語サイト厳選リンク集」を300部作ってゲムマ2019秋で無料配布した。が、その後も相変わらず、どこのサークルも広報活動がお粗末なままだったので、業を煮やして再び自腹を切ってチラシを作り、ゲムマ2021春で配布した(千葉会は出展しなかったので、去年作ったけれど中止になって配布できなかった、という体裁にした)。
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こうしたチラシは、プリントパックならA4両面フルカラーで100枚刷っても200枚刷っても「コマンドマガジン」や「ゲームジャーナル」の半額程度だ。今までどこのサークルもこうしたものを作ってこなかったのは、怠慢以外の何物でもない。既にゲムマ2021秋に向けて、改めて文字組み・紹介文の内容・画像の配置に徹底的にこだわった新しいチラシをデザインしている。今度はイエサブにも配布する。
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それに加えて、「コマンドマガジン」の(非公式)プロモーションビデオの制作にも着手している。卓上ウォーゲームは大部分が少部数であるがゆえ、店頭に並ぶ新品の種類も少なくなりがちで、それゆえウォーゲームの多種多様さが非ウォーゲーマーには伝わっていない。ならば、具体的に多種多様なウォーゲームを片っ端から見せてゆく映像を作るまでだ。
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完成すればYouTubeで公開する。ゲムマ2021秋にa-gameが出展するのであれば、試遊卓にデカい液晶モニターを設置してエンドレスで再生することも考えている。

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